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日銀時代の横田さん

 横田滋さんが亡くなられました。数年前から健康状態が懸念されていましたが、一目なりとも、めぐみさんに会ってから旅立たせてあげたかった。みなさんが等しく胸塞がる思いで、このニュースを聞いたと思います。

 横田さんは、定年まで勤めあげた日銀マンでした。新潟支店に勤務していた1977年、中学1年生のめぐみさんが忽然と姿を消します。この年から20年間、横田めぐみさんの事件は単なる失踪事件として扱われていました。1997年、北朝鮮による拉致誘拐事件であることが判明します。横田さんは、突如行方不明となった娘を探し求める親でありながら、途中からは国家犯罪の被害者を奪還する活動の中心人物ともなりました。しかし「あの日さえなかったら」、全国に名を知られることもなく、娘・息子と孫に囲まれた静かな生活を送ったことでしょう。恐らく横田さんは何万遍となく「あの日さえなかったら」と思い返したに違いありません。穏やかに、市井の片隅で生きる幸せが望みだったと思います。

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幸せそうな横田さんのご家族

  私の大学の後輩に日銀OBがおり、先日のフェイスブックに次のようなコメントを寄せていました。

「横田滋さんが旅立たれました。とても残念です。小生は、社会人の駆け出しの頃、横田さんから預金・為替・国債業務の基礎を教えていただきました。小生がどんな不手際をしても、横田さんは一度も怒られたことはなく、どこが違っていたかを、冷静かつ丁寧に教えてくれた方でした。また、虚勢を張って自分を押し出すこともなく、とても控えめな方でした。当時、警察署の掲示板には、行方の分からないめぐみさんの情報提供を求めるポスターが掲示されており、何も出来ない自分を残念に思っていました。めぐみさんと再会させてあげたかったです。天国でゆっくりと休んでいただき、いずれは、めぐみさんとお会いいただけると信じたいです。」

 これ以上、何の言葉もありません。せめてお母様がお元気のうちに、お嬢様に会わせてあげたい。SNSもアプリもあり、もはや距離も時間も障害にならない時代。隣の国にいるとわかっている娘と会うのに、いったいどのくらいの歳月を奉げなければならないのか。本当に許しがたい残酷、そして‥‥。 (T生)