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産経新聞「朝晴れエッセー」から

 産経新聞朝刊の第一面下部に「朝晴れエッセー」というコラムがあります。一般読者向け投稿コラムです。全国紙の第一面に、読者投稿スペースが設けられているのは珍しいのではないでしょうか。

 さて8月26日の同欄は「命との向き合い方」という題名で、若いお母さんからのものでした。幼い娘さんが、カマキリの死骸をみつけ、きれいな状態だったからなのか、持ち上げて手のひらに乗せたところ、死骸の中からアリが出てきてびっくり、地面に落とすと更に無数に這い出してきたアリが、カマキリの死骸を覆いつくしてしまいました。

当然そのお嬢さんは大ショック。その時、このお母さんが「カマキリは死んだからアリのご飯になったの。生き物はこうして死んだ生き物を食べて生きていくんだよ」と話すと、悲しそうな何とも言えない表情を浮かべていたそうでした。

しばらくアリを避けていたこの娘さんは、ある日見つけた虫の死骸をアリの中に置いて「アリさん、ご飯だよ」と呼びかけたとのこと。娘さんの中で、いのち、少し大袈裟に云えば生命の連鎖への気持ちの折り合いがついたようだと、このお母さんは感じました。

 今年私たちは、多くの人がコロナウィルスで否応なく日常を遮断され、時には無慈悲に命を奪われ、その悲しみを分かち合う機会さえ与えられない、という過酷な現実を目の当たりにしました。そして、大きな不安を抱えた中で迎えた夏休み。この限られた貴重な期間、コロナ禍と猛暑を避けるために子供たちが自然と戯れ、虫や草花や小動物たちのいのちと向き合う機会が奪われているのでは、と心配になります。自然から学ぶことには、体験するしかないからです。今年は梅雨が長く、夏の盛りが短く感じられるのか、蝉の声がひときわ響くような気がします。(T生)