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キネマスキーの映画コラム

キネマスキーの<たかが映画、されど映画>(その20) 日本映画の熱量不足 ―キネマ旬報年間ベストテンに思うことー

先日、我が<映画サロン>のご常連に誘われてキネマ旬報年間ベストテンの発表会に行ってきた。 前日の米アカデミー賞での「パラサイト」の圧勝に大感動した直後だけに、日本映画の今に心うそ寒い思いに捉われた。邦画NO.1にランクされた「火口のふたり」にし…

キネマスキーの<たかが映画、されど映画>(その19)-去年公開の映画たちにひとことー

昨今の日本の映画産業は好況のようでご同慶の至り。 さりながら、興行成績のベスト5はすべてアニメ映画で相変わらずお子様産業だ。 各地のシネコンもその上映作品の過半はアニメ、大人の映画小屋だった単館上映館も閉館の一途。 加えて、シネマフリックスと…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その18)国家権力の闇に挑むジャーナリズム -映画「新聞記者」製作陣に拍手!-  

たわみ切った日本映画界にあって、久し振りに硬質な政治映画に出会った。 官邸、内閣調査情報室、公安などの権力機構によるネットを使っての世論誘導に挑戦する果敢なジャーナリズムの姿を、社会正義を求める女性記者と正義と職責のはざまで葛藤する若きエリ…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その17) 本年度アカデミー賞に思うこと  ― “マイノリティ”という名のマジョリティ―

アメリカ映画の歴史は、アメリカという国家への抵抗という側面がある。 今年のアカデミー賞も、内政的にも国際的にも「独善」と「分断」をもたらしているトランプ政権への批判と警鐘を表出した結果となった。 作品賞にノミネートされた映画のほとんどが、人…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その16) キネマスキーの2018年私的NO.1映画  -「スリー・ビルボード」-

昨年後半は、「カメラを止めるな」、「ぼけますから、よろしくお願いいたします」、「ボヘミアン・ラプソディ」といった秀作、快作に出会い、映画好きの愉楽を存分に堪能した。 いつものことながら、年間NO.1作品を選ぶのにうれしい悲鳴だったが、私的好みに…

キネマスキーの<たかが映画、されど映画>(その15)ー陶酔の「ボヘミアン ラプソディー」ー

1970年代から80年代にかけて世界の音楽界を駆け抜けた伝説のロックバンド「クィーン」をご存知か。 私の記憶の中では、クィーンは、その広い音楽性と耳障りの良いメロディラインやリズム感により、ロックに縁の薄い人々の心をも捉えたが、ローリングストーン…

キネマスキーの<たかが映画、されど映画>(その14)「老いること」の切なさ ー「ぼけますから、よろしくお願いします」を観てー

心に迫る秀逸なドキュメンタリー映画に出会った。 女流ドキュメンタリー作家信友直子さん監督・撮影・語りの「ぼけますから、よろしくお願いします」である。 全国数館の単館上演が、またたく間にドキュメンタリーにはまれな大ヒットとなり、現在は全国70館…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その13)━B級映画の傑作「カメラを止めるな」の奇跡━

このところ、映画ファンの間でインディーズ作品「カメラを止めるな」の話題が飛び交っている。新人監督、無名俳優による低予算映画で単館上映されたが、またたく間に行列をなすヒット作となり、ロングランロードショーとなった奇跡のような作品。 37分間のプ…

キネマスキーの <たかが映画 されど映画> (その12)―名脚本家橋本忍逝く―

昭和の日本映画界を支えてきた名脚本家橋本忍が亡くなった。享年100歳。 旧国鉄のサラリーマンでありながら伊丹万作の下でシナリオを学び、1950年、巨匠黒澤明監督作品「羅生門」で脚本家デビュー。練りに練った論理的な作品構成力が高く評価され、黒沢作品…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画> (その11)-今年の米国アカデミー賞に思うことー

今年の米国映画アカデミー賞は、大方の予想通り、作品賞は「シェイプ オブ ウォーター」、監督賞もこの映画を創ったギルレモ・デル・トロが受賞した。機密研究所に囚われた半魚人と清掃員の女性の心の通い合いを描いたこのファンタジー映画の受賞にはまった…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>  (その10) ―映画の命は脚本にありー

昨今の日本映画界では人気コミックの映画化が目立ち、映画作品としても優れたものも少なくない。しかしながら、総じて映画本来の興奮と恍惚へ誘う名品にはなかなかお目に掛かれない。 「鉄腕アトム」、「銀河鉄道スリーナイン」、「あしたのジョー」、「風の…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その9) ― トランボ ハリウッドの自由を守った男 ―

ダルトン・トランボというアメリカの名脚本家をご存知か。 1930年代からハリウッドの中心的な脚本家でありながら、1950年代のマッカーシズムの赤狩りによって、「ハリウッド・テン」(共産主義シンパとして弾劾・追放された10人の映画人)の中核的人物とし…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その8)  ―映画は人の心を狭くするー

私は映画は必ず独りで観る。特に心を寄せる人とは一緒に観ない。観終わって心震わせている時、「つまらなかったね。」の一言が心を凍らせる。つまらぬ映画に時間の浪費を嘆く時、目を潤ませて「良かったね」と言われると、一瞬にして百年の恋も醒める。「こ…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その7)―孤島に持っていきたい一本の映画ー

映画マニアの間では、「もし孤島で一人暮らしを強いられる時、持っていきたい一本の映画は?」という問いかけがよくある。「最も優れた名作」、「最も好きな映画」などとは少し趣きが異なる。何度繰り返し観ても飽きることがなく、孤独な一人暮らしを慰めて…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その6) ー映画は記憶の連鎖ー

長いこと映画を見続けていると、「この場面、どこかで観たことあるぞ」といった既視感に囚われることがよくある。それはその筈、映画の作り手の多くにもこれまで彼らが出会った先輩作家の映像の蓄積があり、意図的、無意識を問わず、自らの作品にその映像や…

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その5) ― 「男はつらいよ」再考―

山田洋二監督と渥美清の名コンビによる映画シリーズ「男はつらいよ」は、高度成長期の昭和44年からバブル景気破綻後の平成7年にかけて公開された。26年間に48作というギネスブックにも登録された世界最長のシリーズ映画であり、延べ8千万人の観客を…

キネマスキーの<たかが映画、されど映画>(その4) ― 独白 私の映画の原点 ―

映画を思う時必ず私の心によみがえる、いわば私にとっての映画の原点ともいえる映像がある。 小学生の頃、父と一緒に田舎の映画館で観た股旅時代劇の一シーンである。 終幕の修羅場で主人公の長脇差が血にまみれて雪だまりに突き刺さる場面。 雪の純白と鮮血…

キネマスキーのたかが映画されど映画(その3) ―映画の品格―

人にも品位・品格があるように、映画にもそれがある。 映画にも「行間を感じ取る」楽しみがある。 先ずは観る側の感性や想像力に敬意を払い、過剰な説明をしないこと。 某公共放送の朝ドラや大河ドラマじゃあるまいし、やたら冗漫な説明描写を施す作品には腹…

キネマスキーの たかが映画されど映画(その2)ー映画は嘘をつくー

映画の好みや評価は百人百様。私の映画仲間の中には、作品の質はその映画に使われた火薬の量に比例すると断言する活劇マニアすらいる。 ただ、映画に向かい合うとき心しなければならないのは、「映画は嘘をつく」ということ。 「こんなこと現実にはあり得な…

キネマスキーの たかが映画されど映画(その1) ―わが青春の裕次郎―

日本人が前を向いてひたむきに生きていた昭和という時代を駆け抜けていった大スター石原裕次郎の、今年は没後30年。各メディアの裕次郎追慕番組を観ながらわが青春の裕次郎が鮮やかに蘇ってくる。 Gパンをはいただけで不良少年と叱られた時代、短い脚を引き…