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文楽鑑賞教室

2020年のオリンピックイヤーを控えた今年は、日本の伝統的な文化に触れる企画を意識し取り組んできました。2019年締めくくりの12月は「文楽」、国立劇場が主催する年に一度の鑑賞教室でした。入場の際に配布されたプログラムと鑑賞のしおりには、あらすじの他に、文楽の三業(太夫・三味線・人形)についても詳しく記述されていて、三業の方による分かりやすい「文楽の魅力」解説とともに鑑賞にとても役立つものでした。

◆実施日:令和元年12月11日水曜

◆場所:国立劇場小劇場

◆プログラム:人形浄瑠璃「伊達娘恋緋鹿子」火の見櫓の段  ⇒ 解説「文楽の魅力」⇒  休憩  ⇒  人形浄瑠璃「平家女護島」鬼界が島の段

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§「伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)」:
八百屋お七として知られる恋人に会いたい一心で放火事件を起こした町娘お七の江戸時代の実話をもとに作られた作品です。この事件は、浄瑠璃だけでなく文芸作品や歌舞伎など様々な作品の題材となりました。数あるお七物語の代表作のひとつが今回の「伊達娘恋緋鹿子: 初演1773年(安永2)」です。

§「平家女護島(へいけにょごのしま)」:
近松門左衛門(1653-1725)は、その生涯において約110の浄瑠璃と約40の歌舞伎を作ったと言われています。その中でも傑作と称される今回鑑賞の「平家女護島」は、1719年初演の作品です。

元となったとされる「平家物語」や「源平盛衰記」、能「俊寛」では、次のようなお話です。

僧正に次ぐ僧都(そうず)という高い地位にあった俊寛、平家打倒の計画が発覚し、1177年(治承元年)鬼界が島に流刑となります。やがて平清盛の娘:徳子の安産祈念の大赦で、同志の藤原成経と平判官康頼は赦されますが、赦免状に俊寛の名前はなく、二人を乗せ鬼界が島を離れていく舟を俊寛が絶望の淵で見送る、というものです。

近松は、新たに海女の千鳥を登場させ、成経と千鳥の恋、親子の契りを結んだ千鳥との親子愛、千鳥を自分の代わりに舟に乗せるため瀬尾を無き者にする、などの創作を加え、情感あふれる作品に仕上げました。

 

今回の文楽鑑賞教室は、キャンセル待ちで鑑賞いただけない方もいらしたので、次回は枠を広げて開催したいと思います。

 

(事務局:ふな)