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キネマスキーの<たかが映画、されど映画>(その4) ― 独白 私の映画の原点 ―

映画を思う時必ず私の心によみがえる、いわば私にとっての映画の原点ともいえる映像がある。
 
小学生の頃、父と一緒に田舎の映画館で観た股旅時代劇の一シーンである。
終幕の修羅場で主人公の長脇差が血にまみれて雪だまりに突き刺さる場面。
雪の純白と鮮血の真紅とそしてギラリと光る長ドスのきらめき、この瞬時の映像に、背筋に氷が走るようなそんな不思議な恍惚が身を貫いた。
私が映画への恋に落ちた瞬間である。

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今になってみれば、現実破壊のロマンティズムとか生と死のエロスとか、訳知り顔で自己分析できようが、なにしろ田舎の小学生にロマンだのエロスだの、分かろうはずもない。ただただ、鳥肌がたつような興奮を昨日のように覚えている。
映画の筋書きはほとんど覚えていないが、確か長谷川一夫と山本富士子が出ていたから、長谷川伸原作、加戸敏監督の「雪の渡り鳥」(鯉名の銀平ものの一作)と思われる。


長じて、加藤泰、山下耕作などの仁侠映画や、デヴィット・リンチ、サム・ペキンパーといったオタク系映画作家にのめり込んでいったのも、あの田舎のほこり臭い映画小屋で私の幼心をとらえて離さなかった鮮やかな映像美の悪行のせいであろう。
 
私の映画的感性の奥深いところでこの原点回帰をうながす一本をご紹介する。
デヴィット・リンチ監督の「ブルーベルベット」(1987年公開)。
誰にでもお薦めできる作品ではないのだが・・・。
 
*キネマスキー
 年齢・国籍不詳。「単館荒らしのキネマスキー」を自称し、余り世上に上らぬ
 マイナーでオタクな映画世界の徘徊者。6年ほど前からNPO法人新現役ネッ
 トの映画講座「シネマの迷宮」を主宰。
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