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キネマスキーの <たかが映画 されど映画> (その12)―名脚本家橋本忍逝く―

 

昭和の日本映画界を支えてきた名脚本家橋本忍が亡くなった。享年100歳。

旧国鉄のサラリーマンでありながら伊丹万作の下でシナリオを学び、
1950年、巨匠黒澤明監督作品「羅生門」で脚本家デビュー。
練りに練った論理的な作品構成力が高く評価され、黒沢作品、野村芳太郎作品など数多くの秀作脚本で、「昭和最強の脚本家」といわれた。
特に、傑作「砂の器」や脚本作りの教科書といわれる「切腹」などは、時空の交錯する回想形式の物語の論理性が際立ち、橋本忍ならではの作品である。

「どんな名監督でも凡庸な脚本ではいい映画が作れない。どんな凡庸な監督でもいい脚本に出会えればそこそこの作品は作れる。」という伊丹万作や黒澤明の言を身を以て示したのは、まさに橋本忍その人であった。

大ヒットした橋本忍脚本のテレビドラマ「私は貝になりたい」(1958年)を観た黒澤に、「これではとても貝にはなれないよ。」と酷評された橋本が、この「私最大の失敗作」を半世紀を費やして練り直し、再映画化されたのは有名な話。
キャスティングのミスが致命的となった作品ではあったが。

<私の橋本忍脚本作品ベスト3>
「張り込み」、「切腹」、「砂の器」

<キネマスキーのプロフィール」
年齢・国籍不明。「単館荒らしのキネマスキー」を自称し、あまり世上の上らぬマイナーでオタクな映画世界の徘徊者。7年ほど前から、NPO法人新現役ネットの映画講座「シネマの迷宮」を主宰。
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