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キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その8)  ―映画は人の心を狭くするー


私は映画は必ず独りで観る。
特に心を寄せる人とは一緒に観ない。
観終わって心震わせている時、「つまらなかったね。」の一言が
心を凍らせる。
つまらぬ映画に時間の浪費を嘆く時、目を潤ませて
「良かったね」と言われると、一瞬にして百年の恋も醒める。
「こいつ、馬鹿か」、「こいつの感性、下の下」と、口もききたくなくなる。
日頃は心広いつもりが、こと映画になると依怙地で狭量になる自分を知る。

20年ほど前、香港の鬼才ウォン・カーウァイの名作「ブエノス・アイレス」を
友人と一緒に観た折、観終わっての友人の一言、「ああ、気色悪い」。
それ以来、この友人とは一度も会っていない。

あの人格円満に見受けられた淀川長治さんの専門的な著作を読むと、
その厳しく鋭い映画眼と歯に衣を着せぬ毒舌的論風に、
淀川さんの別人格すら感じられる。
映画世界の淀川さんのプロとしての狭量ぶりに、
私自身を顧みて大いに納得する。
・・・映画は暗闇で独りで観るもの・・・


*キネマスキー
年齢・国籍不詳。「単館荒らしのキネマスキー」を自称し、余り世上に上らぬ
マイナーでオタクな映画世界の徘徊者。6年ほど前からNPO法人新現役ネッ
トの映画講座「シネマの迷宮」を主宰。
*映画サロン「シネマの迷宮 この映画知ってる?」
日時:毎月第一土曜日 13:30~
場所:NPO法人新現役ネット 田町会議室
お問い合わせ:03-5730-0161