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キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その16) キネマスキーの2018年私的NO.1映画  -「スリー・ビルボード」-

昨年後半は、「カメラを止めるな」、「ぼけますから、よろしくお願いいたします」、「ボヘミアン・ラプソディ」といった秀作、快作に出会い、映画好きの愉楽を存分に堪能した。

いつものことながら、年間NO.1作品を選ぶのにうれしい悲鳴だったが、私的好みに従って、「スリー・ビルボード」(監督:マーティン・マクドナー、出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル)を挙げることにしたい。

あえて“私的”といったのは、主演のフランシス・マクドーマンドが私好みであることもあるが、なによりも人間の根源的な情動が物語を転がしていく作品がなによりも私好みである。

アメリカの田舎町を舞台に、一人娘を殺されたプアーホワイトの母親が、無策の警察に苛立ちと怒りをぶつけていく。この過激な情動が周りの人間たちを取り込み、それぞれの情動の相克が自律的に先の見えない物語を展開していく。

どこにでもあるようなこの田舎町が、トランプを頂点に押し上げた現代アメリカ社会の病質をどこか象徴しているような気がするのは私だけか。

アウトサイダーであるアイルランド系英国人マクドナー監督だから創ることができた映画かもしれない。

 

<キネマスキーのプロフィール>

年齢・国籍不詳。「単館荒らしのキネマスキー」を自称し、余り世上に上らぬマイナーでおタクな映画世界の徘徊者。7年ほど前から、NPO法人新現役ネットの映画講座「シネマの迷宮」を主宰。

 

*新現役ネット映画サロン「シネマの迷宮 この映画知ってる?」

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