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キネマスキーの<たかが映画 されど映画>  (その10) ―映画の命は脚本にありー

昨今の日本映画界では人気コミックの映画化が目立ち、映画作品としても優れたものも少なくない。しかしながら、総じて映画本来の興奮と恍惚へ誘う名品にはなかなかお目に掛かれない。

「鉄腕アトム」、「銀河鉄道スリーナイン」、「あしたのジョー」、「風の谷のナウシカ」といったコミック文化勃興期の傑作には、時代の一歩先を行く作者の時代感性の鋭さがあった。 
昨今のコミックの映画化作品(特に実写作品)の創り手にとっては、「今」への同化性(おもねり?)をまとった昨今のヒットコミックは題材的にも興行的にもお手軽なのかもしれない。
一方、テレビドラマなどの脚本家がもてはやされているのに、映画世界では、作品の命ともいえる脚本創りの弱体化が気がかりでならない。かつての野田高梧、笠原和夫、橋本忍といった名脚本家の輩出を望むのは無いものねだりなのだろうか。

巨匠黒沢明の言。「優れた脚本に出会うと、どんなに凡庸な監督でもなんとかそこそこの映画を作ることが出来る。どんなに秀でた監督でも、つまらぬ脚本では三流の作品しか作れない。」

 

<キネマスキーのプロフィル>
年齢・国籍不詳。「単館荒らしのキネマスキー」を自称し、余り世上に上らぬマイナーでオタクな映画世界の徘徊者。7年ほど前から、NPO法人「新現役ネット」の映画講座「シネマの迷宮」を主宰。
*新現役ネット映画サロン「シネマの迷宮 この映画知ってる?」
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