教育分野における社会貢献活動を行なっている三菱商事OB・OGグループ「一月
会」の協力を得て2019年9月から毎月開催している世界情勢セミナーは、コロナ
禍により一時中断していたが、今年4月に再開し今回で11回目となった。
今回(9月15日)は、戦後最悪との見方もある日韓関係について、三菱商事OB
お二方を迎えて講演していただいた。
お二方とも、海外駐在経験が豊富で、それぞれ元日韓経済協会専務理事(現顧
問)、元韓国三菱商事社長として両国関係の発展に貢献されている。元韓国
三菱商事社長は、2016年に赴任し今年の4月に帰国されたばかりで、日韓関係
悪化前後の韓国社会の空気を体感されているので大変興味深かった。
セミナーは、日韓経済・人材・文化交流の具体的事例紹介(例えば、東日本大
震災や熊本地震における韓国からの支援、在韓日系企業おける韓国学生の体験
実習受け入れ、両国青少年交流、インドネシアやモンゴルなど第三国における
日韓企業連携による事業参加など)から始まり、韓国駐在や人的交流を通じて
体感した韓国人の歴史観、価値観やこれらの点における世代間ギャップ、更に
は、日韓関係改善の可能性やそのために両国がどのように向き合っていけばよ
いかについてお話ししていただき、大変示唆に富む内容であった。特に、韓国
の若い世代は過去にとらわれない柔軟な考えや高いコミュニケーション能力が
あり、パワハラ/アルハラ/セクハラに日本人以上に敏感で、儒教に基づく年功
序列社会は過去の話というのは興味深かった。筆者も1980年台に韓国向けビジ
ネスに関わったことがありソウルによく出張したが、当時と較べると今の社会
は相当変化しているようだ。現在のような日韓関係をもたらした両国における
これまでの世代の改善努力が必要であることは勿論であるが、過去に縛られな
い未来志向の若い世代が社会の中心になれば、両国関係が改善に向けて大きく
前進するのではないだろうか。
海外に駐在した経験を持ち、現在も駐在国や周辺地域との関りを持つビジネス
マンOB(時には現役の方も参加)の話には、一般のマスコミ報道には出てこな
い貴重な話や示唆に富む内容が含まれるため、できるだけ多くの若い世代にも
お伝えできるように努めたい。
(事務局:TARO)