先日、文京区本駒込にある東洋文庫ミュージアムで開催中の「東方見聞録展」を訪問した。マルコポーロというイタリアの商人が昔(13世紀末)、中国、中央アジアを旅行、滞在した体験談を記した本で、日本も黄金の国ジパングとして紹介されているといった程度の学生時代の知識しか持ち合わせていなかったが、世界一周したコロンブスも「東方見聞録」を所有していたとのことで、それと同じ印刷本(ベルギー、1485年出版)の他、イタリア語やフランス語などの印刷本が展示されている。当時のベストセラーであったということであろうが、多くの欧州国民がアジア地域に高い関心を持っていたこと(あるいは、当時、欧州域外に関する情報はあまりなかった)が想像され、面白かった。
「東方見聞録」は、東洋文庫の中核をなす洋書・絵画資料のコレクションである 「モリソン文庫」の一部であり、他にも「アヘン戦争図」など貴重な歴史資料が多数展示・収容されている。東洋文庫では、他に、映画「アラビアのロレンス」の原作となった「知恵の七柱」(トーマス・エドワード・ロレンス著)やイギリスで出版された英語版の「明暗」(夏目漱石)なども展示されていて興味深かった。
(事務局:TARO)