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先週の新聞書評欄から(3)

日経新聞に目を通す機会が少ない方を対象に、10月21日(土)の書評欄を眺めます。

書評委員による書籍紹介は5本。列挙してみます。「日本経済の歴史1~3」(深尾京司他編 岩波書店)「銀河鉄道の父」(門井慶喜著 講談社)「ゴッホの耳」(マーフィー著/山田美明訳 早川書房)「遺族外来」(大西秀樹著 河出書房新社)「ロンドン大火」(大橋竜太著 原書房)。題名から推測できるように、今週は人文科学系の本がずらりと採り挙げられています。(「遺族外来」は、ひたすら傾聴で遺族に寄り添うメンタルケアドクターの話です)

書評の横に「あとがきのあと」という著者紹介のコーナーがあり、「トップスケーターのすごさがわかるフィギュアスケート」(ポプラ新書)を著した、ご本人もトップスケーターだった中野友加里さんのとても面白い取材記事が載っています。フィギュアスケーターのフィジカルやメンタルの裏側、素人には理解不能と思われる採点基準のロジカルな仕組みなど、ピョンチャン冬季五輪を控え「さらに観戦が楽しくなる」本なのだろうなあ、と期待が膨らみます。

「リーダーの本棚」という、如何にも日経らしいインタビューコラムもあり、今回のゲストは東洋紡社長の楢原誠慈さん。九州電力から東洋紡に移って社長に昇り詰めた経歴、「私の履歴書」に載せても面白そうなビジネス上のエピソードにまじえて語られる様々な本との出会い。かつて経営者の必読書とされた「徳川家康」(山岡荘八)は兎も角として、「チーズはどこへ消えた」「経営の哲学」といったマーケティング関連の話題書と、フリーマントル、フォレットといったサスペンス作家の作品に惹かれるという氏の嗜好は、私の読書傾向とぴったりで、自分勝手に同好の士を得た気にもなろうというものです。ケン・フォレットは「針の眼」が有名で、楢原氏は「鷲の翼に乗って」(集英社文庫)を挙げていますが、私はいま大作「凍てつく世界」(SB文庫)を読んでいます。二次世界大戦前後の米・独・英国を舞台とした、スケールの大きなロマンサスペンスです。(ターサン)

第119回東京散歩「寛永寺跡と上野の史跡その1」2017.10.24

台風一過、おだやかな天気に恵まれて総勢20名の会員の皆様と上野の杜を散策しました。

天台宗総本山比叡山延暦寺にちなみ、東の叡山として開創された上野「寛永寺」。2回シリーズで史跡を訪ねますが、元の広さは現在の上野駅から鶯谷、日暮里駅にかけて上野公園の全域と動物園、東京芸大、谷中霊園を含むとあるので、その広さは想像もできないほどです。

今回は上野公園を主に散策しました。

 

 天海僧正毛髪塔

寛永寺を建立した天海僧正の供養塔。ひっそりと建っています。 

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不忍池弁天堂

弁財天を祭っているお堂は、昔は渡し船でお参りしたとのこと。

不忍池のほとりには「駅伝発祥の碑」家康公が使用していたメガネを模った「メガネの碑」もありました。気づいていましたか。

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花園稲荷神社

かつて上野の主だった弥左衛門狐を祭っています。

狐は赤い鳥居を一つ飛ぶ毎にパワーアップするので、沢山の鳥居が並ぶほど狐のパワーが増すらしいです!

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東照宮

日光東照宮をモデルに透塀に囲まれた中に金箔をはりつめた壮麗な社殿。徳川3代家光が造営した建物で国の重要文化財に指定されています。

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歴史ライターの小林祐一講師の解説に納得したり驚いたり、歴史が詰まった上野公園でした。ランチはこの地の老舗「上野精養軒3153店」で、にぎやかに歓談しながら名残を惜しみつつお開きとなりました。f:id:tanabetan:20171026154515j:plain

 

(事務局hana)

 

 

先週の新聞書評欄から(2の2)

10月14日(土)の日経新聞書評欄の続きです。従って正確には「先々週の書評欄から」となります。

前回、「それほど頻繁に取り上げられるジャンルではない『音楽』に関係した書籍が2本あるという、これも珍しい構成となりました」として、「ホワイトハウスのピアニスト」(クリフ著・松村哲哉訳・白水社)を採り上げましたが、もうひとつの書評「魅了されたニューロン」(ブーレーズ他著・笠羽映子訳・法大出版局)について書いてみます。

まずタイトルから推測されるように(ニューロン=神経細胞)、この本のテーマは、音楽作品や演奏ではありません。「作曲家や指揮者が音楽を生み出す時、その頭の中では何が起きているのか」という課題を、作曲家・指揮者・教育者であるP・ブーレーズと神経生物学者のJ=P・シャンジュー、作曲家のP・マヌリの鼎談を通して解き明かそうという、何か途轍もなく難解そうな一冊です。音楽愛好家はもとより、科学に興味を持つ人にも大いに向いた本かもしれません。望月京(作曲家)の書評を読むと、作曲(特に交響曲などのクラシック作品)という、イメージを論理的に楽譜に積み上げていく、膨大な「演繹的手法」の概念や課程などについて語られているようです。

年下の神経学者や作曲家を相手に語るブーレーズは、当時90歳を目前とした最晩年。世の中には時として”万能の天才”が現れるものですが、ブーレーズはまさにそうした一人でしょう。たとえ音楽の道を行かなくても超一流の知識人であったであろうブーレーズが中心となってすすめられるこの知的会話、CDとなった数多くのブーレーズ作品や、彼の指揮した曲を聴きながら味わうのも一興かもしれません。(ターサン)