新現役ネット 【江戸歴史旅講座】
2020年9月24日 講師 小林祐一さん
新現役ネットの中でもロングランイベント「東京散歩」の講師、歴史ライターの小林祐一先生による室内講座を開催しました。
コロナ禍での講座ということで12名が会議室参加で、14名がZoomによるリモート受講となりました。
数多くの写真や図版を見せていただきながら有意義なひと時となりました。
少しだけ内容を紹介します。
テーマは「江戸時代の旅」
江戸時代、庶民が自由に旅をすることは基本的に禁止されていたそうですが、湯治と伊勢神宮参拝に代表される神仏詣は許されていたとのこと。
しかし、「寺社詣で」の名目であっても実際には物見遊山の旅、ということも可能ということで、届け出さえすれば、実質的には庶民は自由に旅行ができたそうです。
旅に必要なのは「通行手形」。今でいえば「通行チケット」ということでしょうか。
他にも、「往来切手」というケースもあります。これは、もめごとや事件に巻き込まれた場合、いかように処罰されてもかまわない、という意味。こうしてみると、往来切符は、身分証明というより、「万一の場合やトラブルに巻き込まれても文句は言わない」という同意書のようなものであるといえます。
当時の旅はそれだけリスクを抱えていた、ということでもあるのですね。
おかげ参りといわれるのが、伊勢神宮への集団参詣。数百万人規模のものが、およそ60年に一度、(「おかげ年」という)起こりました。奉公人などが主人に無断で、または子供が親に無断で参詣することが多かった、ということがあります。未成年で、しかも旅費を持っていなくとも、信心の旅ということで沿道の人々から施しを受けて旅行をすることができたそうです。
こうした江戸の旅行事情を支えたのは、宿場の存在で、宿場本来の役割は、荷物輸送と通信の拠点でした。宿場のなかには宿泊施設のない宿場も存在しました。
そのほか、当時の物の数え方、荷物の運搬料金、宿泊料など、興味深いお話をしていただきました。
豊富な資料・写真を見せていただきながら分かりやすいお話で、Zoomでの参加者も同時に鮮明な資料を見ることができて大好評でした。
次回は10月後半頃を予定しています。
ご期待ください。
新現役ネット事務局