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ISS流星観測プロジェクト「METEOR(メテオ)」 千葉工業大学惑星探査研究センター(PERC)見学 その2

『流れ星をみつけたら、消えないうちに願いを3回唱えると、その願いは叶う』、そんなロマンチックな伝説を持つ流れ星は、正式には「流星」と呼ばれ、その正体は、彗星や小惑星から放出された塵が、地球の大気に突入する際、高温高圧のプラズマ状態となって地上100キロメートル付近で発光する現象です。

前回のブログで、「はやぶさ2」プロジェクトと千葉工業大学惑星探査研究センター(PERC)との関わりについて記しましたが、今回は、もうひとつの特筆すべきプロジェクト、ISS流星観測プロジェクト「METEOR(メテオ)」についてご紹介したいと思います。

ISSとは国際宇宙ステーションの略で、地上約400キロメートルの上空に建設された巨大な有人実験施設であり、米国・ロシア・欧州・カナダなど世界15ヶ国が参加する国際協力プロジェクトです。ISSは1周約90分というスピードで地球の周りを回りながら、様々な実験や研究、また地球や天体の観測などを行っています。

千葉工業大学惑星探査研究センター(PERC)の「METEOR(メテオ)」プロジェクトでは、JAXA(日本)、NASA(米国)、ESA(欧州)との連携により、ISS(国際宇宙ステーション)の米国与圧実験棟 “デスティニー”に、超高感度CMOSカラ―ハイビジョンカメラを設置し、実験棟の窓越しに流星観測を実施しています。

これは、宇宙からの流星を2年間という長期に渡って連続観測する世界初の試みで、観測で得られた流星の飛跡や明るさから、流星塵の大きさを求めたり、分光観測によって流星塵の化学組成を分析しています。

また、毎年決まった時期に現れる流星群は、元となる彗星や小惑星(母天体)がわかっているので、流星を観測することによって、直接探査の難しい母天体の特性を知ることができるとのことでした。(「メテオ」とは流星という意味なのだそうです。)

新現役ネットの見学会 [2019/1/15実施] では、惑星探査研究センター(PERC)内の『メテオ運用室』をみせていただくことができました。そこでは、NASAのネットワークを介して、観測した流星の映像をその日のうちに見ることができるモニター設備や、リアルタイムで、ISS上のカメラの制御を行う装置が並んでいました。

ISSは1周約90分で地球の周りを回っているので、昼の時間と夜の時間が数十分ごとに入れ代わり、ISSの現在地と軌道をあらわすモニター上の世界地図も、昼と夜で影ができていて、「宇宙から眺める地球」をイメージできて楽しかったです。

「メテオ」のカメラが捉えた流星の映像を、「映ってるのを見つけると嬉しいんですよ」「えっと、この辺にキレイなのが・・」と目を輝かせてご説明くださった若き研究者の方がとても頼もしくみえました。お忙しいなか、質問にも丁寧に答えてくださり、本当にありがとうございました。 

見学レポート、もう少し続きます。

 

 事務局:ふな

 

**METEORの打ち上げ成功まで**

最初の打ち上げは、2014年10月、米国バージニア州NASAワロップス飛行施設から。打上げ直後にロケットは爆発しました。

2度目の打ち上げは、米国フロリダ州NASAケネディスペースセンターより2015年6月に打上げられましたが、打上げ約2分後にロケットが爆発しました。

3度目、日本時間2016年3月22日、米国フロリダ州ケープカナベラル空軍基地よりアトラスVというロケットで打上げられ、成功しました。

惑星探査機「はやぶさ2」 千葉工業大学惑星探査研究センター(PERC)見学 その1

世界で初めて小惑星からその表面物質を持ち帰ることに成功した惑星探査機「はやぶさ」

「はやぶさ」の探査対象は、S型小惑星「イトカワ」でしたが、後継機としての「はやぶさ2」は、C型小惑星「リュウグウ」を目指し、2014年12月3日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。

「リュウグウ」は、地球から約1.9天文単位(およそ3億キロメートル)の彼方にある、大きさ約900メートルのソロバンの玉のような形(トップシェイプ)をした天体です。その上空およそ20キロメートル地点に、打ち上げから1302日目の昨年2018年6月27日、「はやぶさ2」は到達しました。「リュウグウ」の表面は、ボルダーと呼ばれる岩塊でおおわれ凸凹が激しいため、着地点(タッチダウン地点)の選定に難航しましたが、いよいよ今月19日に着陸の予定です。(本記事投稿のあと、JAXAによる2/6の記者発表により、タッチダウン予定日は今月22日に変更となりました。)

C型小惑星には、太陽系が生まれた頃の水や有機物が多く含まれると考えられており、その物質を調べることは、地球の水の起源や、生命の原材料について探求すること、さらには太陽系の誕生と生命誕生の秘密に迫ることにつながります。

また、「リュウグウ」は、“将来的に地球に衝突する可能性が大きく、かつ衝突時に地球に与える影響が大きい「潜在的に危険な小惑星」” に分類されている天体だそうです。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ2」プロジェクトは、そのような小惑星「リュウグウ」から、サンプルを採取して持ち帰ることを目的としています。

今回、新現役ネットの外出企画 [2019/1/15実施] で訪問させていただいた、千葉工業大学惑星探査研究センター(PERC)は、「はやぶさ2」に搭載された多くの科学観測機器の開発に携わってこられました。

講演いただいた和田浩二主席研究員は、衝突装置によって「リュウグウ」の表面に人工的なクレーターを作り、表面物質だけでなく、地表下の物質を持ち帰るプロジェクトに関わっておられます。地表下のサンプルは、宇宙空間での風化の影響を受けていないため、より詳しく惑星の組成を調べることができるそうです。学生時代のエピソードをまじえた、惑星の「衝突」に対する熱い思いの伝わるお話が、とても印象的でした。

小惑星「リュウグウ」と小惑星「イトカワ」の大きさを、東京タワーとスカイツリーとの比較で図でご説明くださって、その大きさは「リュウグウ」>「スカイツリー」>「イトカワ」>「東京タワー」の順とのこと。以来、スカイツリーを見ると、横にひとまわり大きいトップシェイプの「リュウグウ」を想像しています。

PERCの見学会では、その他にも、興味深いおはなしをたくさんお聞きしましたので、何回かに渡ってブログで紹介していきたいと思います。

 

 事務局:ふな

 

能「鉢木(はちのき)」

乾燥した日が続いていましたが、今日は東京も雪の予報ですね。

能の演目で雪がでてくるものと言えば、「鉢木」がまず思い浮かびます。

「いざ鎌倉」という言葉の由来となったこの物語は、鎌倉幕府第5代執権として1246年 - 1256年の10年間在職した北条時頼(ほうじょうときより)が、職を退いた晩年に、諸国を旅しながら民情視察を行った「廻国伝説」をもとに作られたと言われています。

雪の降り敷く夕暮れ、信濃国から鎌倉へ戻る途中の下野国佐野(現在の栃木県佐野市)のあたり、旅の僧侶が一夜の宿を求めます。住人の武士は、貧しさゆえ接待もできぬと一旦は断りますが、雪のなか行かせるのも申し訳なく、粟飯でもてなします。そして、囲炉裏の薪がなくなると、大切にしている、梅・桜・松の三鉢の盆栽を、僧侶のために火にくべるのです。

感じいった僧侶が名前を尋ねると、自分は佐野源左衛門尉常世(さのげんざえもんのじょう とこよ)といい、以前は三十余郷の所領を持つ身分だったが、一族の横領で奪われてしまった。だが、落ちぶれても武士の意地は忘れていない、いざ鎌倉というときには、一番駆けし命がけで戦う、と思いを熱く語るのです。

「あれ鎌倉に御大事あらば ちぎれたりともこの具足 取って投げかけ 錆びたりとも長刀を持ち 痩せたりともあの馬に乗り 一番に馳せ参じ 着到に附き さて合戦始まらば 敵大勢ありとても 一番に破って入り 思う敵と寄合い 討合いて死なんこの身の このままならば いたずらに 飢に疲れて死なん命 なんぼう無念の事ぞうぞ」

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春になったある日、諸国の大名小名に鎌倉参集を命ずるお触れがでます。常世(とこよ)も破れ鎧に身をかため、痩せ馬に乗って駆けつけます。鎌倉につくと、北条時頼の御前に呼び出され、平伏した常世に時頼は、「あの雪の夜の旅僧は、自分である。言葉に偽りなく、馳せ参じてきたことをうれしく思う」と語りかけ、失った領地を返した上、梅・桜・松の鉢木に因む三箇所の領地(加賀国 梅田庄、越中国 桜井庄、上野国 松井田庄)を恩賞として与えるのでした。

鎌倉武士の心意気と、御家人たちの「御恩」と「奉公」の精神性を感じることのできる作品です。

 

事務局:ふな