世界で初めて小惑星からその表面物質を持ち帰ることに成功した惑星探査機「はやぶさ」
「はやぶさ」の探査対象は、S型小惑星「イトカワ」でしたが、後継機としての「はやぶさ2」は、C型小惑星「リュウグウ」を目指し、2014年12月3日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。
「リュウグウ」は、地球から約1.9天文単位(およそ3億キロメートル)の彼方にある、大きさ約900メートルのソロバンの玉のような形(トップシェイプ)をした天体です。その上空およそ20キロメートル地点に、打ち上げから1302日目の昨年2018年6月27日、「はやぶさ2」は到達しました。「リュウグウ」の表面は、ボルダーと呼ばれる岩塊でおおわれ凸凹が激しいため、着地点(タッチダウン地点)の選定に難航しましたが、いよいよ今月19日に着陸の予定です。(本記事投稿のあと、JAXAによる2/6の記者発表により、タッチダウン予定日は今月22日に変更となりました。)
C型小惑星には、太陽系が生まれた頃の水や有機物が多く含まれると考えられており、その物質を調べることは、地球の水の起源や、生命の原材料について探求すること、さらには太陽系の誕生と生命誕生の秘密に迫ることにつながります。
また、「リュウグウ」は、“将来的に地球に衝突する可能性が大きく、かつ衝突時に地球に与える影響が大きい「潜在的に危険な小惑星」” に分類されている天体だそうです。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ2」プロジェクトは、そのような小惑星「リュウグウ」から、サンプルを採取して持ち帰ることを目的としています。
今回、新現役ネットの外出企画 [2019/1/15実施] で訪問させていただいた、千葉工業大学惑星探査研究センター(PERC)は、「はやぶさ2」に搭載された多くの科学観測機器の開発に携わってこられました。
講演いただいた和田浩二主席研究員は、衝突装置によって「リュウグウ」の表面に人工的なクレーターを作り、表面物質だけでなく、地表下の物質を持ち帰るプロジェクトに関わっておられます。地表下のサンプルは、宇宙空間での風化の影響を受けていないため、より詳しく惑星の組成を調べることができるそうです。学生時代のエピソードをまじえた、惑星の「衝突」に対する熱い思いの伝わるお話が、とても印象的でした。
小惑星「リュウグウ」と小惑星「イトカワ」の大きさを、東京タワーとスカイツリーとの比較で図でご説明くださって、その大きさは「リュウグウ」>「スカイツリー」>「イトカワ」>「東京タワー」の順とのこと。以来、スカイツリーを見ると、横にひとまわり大きいトップシェイプの「リュウグウ」を想像しています。
PERCの見学会では、その他にも、興味深いおはなしをたくさんお聞きしましたので、何回かに渡ってブログで紹介していきたいと思います。
事務局:ふな