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名月を楽しむ(能「融」によせて)   

暑かった今年の夏も過ぎ、秋風を感じる季節になってきました。

9月はお月見の季節ですね。今年の「中秋の名月」は9月24日(月曜日)、翌日の9月25日が満月です。

 太陰太陽暦(旧暦)の8月15日の夕方からでる月を「中秋の名月」と呼びますが、天文学的な意味で地球からみて月と太陽が反対方向になった「満月」と同じ日とは限らず、今年のようにずれることはしばしば起きるのだそうです。

 中秋の名月を楽しむ習慣は、平安時代に中国から伝わったと言われますが、能の演目でも登場人物が月をめでるシーンがでてきます。

そのなかで今回は「融(とおる)」をご紹介したいと思います。

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 光源氏のモデルともいわれる平安初期の貴族である源融(生没年822-895)は、左大臣までのぼりつめ、自邸の六条河原院に陸奥の塩竈(しおがま)の景観をうつし、宇治にはのちの平等院となる別邸を営むなど、風雅の限りを尽くしたと伝わっています。一方で、嵯峨天皇の皇子として生まれ、皇位継承をのぞみながらも、左大臣とはいえ臣下の身分となるなど政治的には不遇であったと言われます。

そのような源融の故事をもとに世阿弥は能「融」を作りました。

旅の僧が都に赴き六条河原院を訪ねます。折しも中秋の名月の日、かつての風雅なたたずまいはすっかり廃れているその場所に、ひとりの潮汲みの老人があらわれ、源融が難波の浜から海水を運ばせ塩竈の風情を楽しんだことなど語り始めます。そののち源融の亡霊が僧の前にあらわれ、月影に戯れるような舞をまい、融の亡霊と僧は月にまつわる言葉をかわします。名月の照らす池に舟を浮かべた夜の宴を懐かしむうち、やがて夜が明け、融の亡霊は月の世界に戻っていくのでした。

 シンプルなストーリーのなかに、源融の栄華を象徴する河原院の邸宅の荒廃と、月光のもと昔を偲んで舞う優美な舞が幽玄の世界へと導いてくれる作品です。

 今月は月を眺めながら、能「融」のことを思っていただけると嬉しいです。

 新現役ネットでは、能楽講座のイベントを考え中です。
これから、ブログの中で能のご紹介もしていきたいと思いますので、どうぞ皆さまのご感想をお寄せください。

f:id:tanabetan:20180914110341j:plain 国立能楽堂正門

 

事務局:ふな