連日の猛暑に疲れ果て、東日本大震災の直後から通いつめている南三陸の海と地元自治組織のリーダー高橋さんの顔が見たくなり、帰省ラッシュも省みず思い立って南三陸の歌津におもむいた。
高橋さんは泊浜漁港に近い釣り宿のご主人で、大震災発生以来地域再生のため獅子奮迅の大活躍をしてきた地方自治の鑑のような友人だ。
中学卒業以来、南氷洋の捕鯨、サケ・マスの遠洋、サンマ、カツオ、ヒラメなどの近海、ワカメ、アワビ、ウニなどの沿岸と、漁業万般に長けた高橋さんの懐の深い人生譚は、いつ聞いても心を打つ。 私が晩節に出会った最高の友人だ。
高橋さんの釣り宿で男女20名ほどの学生たちと同宿した。
話を聞くと、関西の某国立大の教育学部の学生で、歌津地区の小学校数校の子供たちの夏休み補習授業を約一週間にわたって行っているとのこと。
大震災後の児童たちの学力低下を補うため発生直後の夏から9年間続けているそうで、担当教授の指導の下、先輩たちを引き継いでのボランティア活動だ。
私もこの9年間被災地で支援活動に汗を流している多くの若者たちと出会ったが、今回も学生たちの清々しい笑顔を見ながら、「こんな若者たちがいる日本も捨てたもんじゃあないな。」と改めて実感した。
「新現役ネット」の加藤タキ副理事長から頂いた言葉、<できる人が、できることを、できるだけやる>を思い起こさせる若者たちに出会ったことはこの夏のとてもうれしい出来事で、老骨鞭打っての私たちのささやかな支援活動への励ましにもなった。
夜半の釣り宿の枕元で海鳴りを聞きながら、この9年間、歌津で出会ったさまざまな人たちに想いを馳すキネマスキーだった。
事務局:キネマスキー