新現役!シニアわくわくブログ

シニアに役立つ情報や新現役ネットの活動について発信していきます。

キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その17) 本年度アカデミー賞に思うこと  ― “マイノリティ”という名のマジョリティ―

アメリカ映画の歴史は、アメリカという国家への抵抗という側面がある。

今年のアカデミー賞も、内政的にも国際的にも「独善」と「分断」をもたらしているトランプ政権への批判と警鐘を表出した結果となった。

作品賞にノミネートされた映画のほとんどが、人種差別、LGBT、メキシコ系といったアメリカ社会の“マイノリティ”を扱った作品であり、主要六部門受賞の過半がやはり“マイノリティ”であったことは、アメリカ映画界からの政治的な主張と断じてよかろう。
アメリカ映画の近代史を総括的に顧みれば、国家的な意思を背負った独占的映画資本への抵抗であり反共的国家圧力との戦いであったわけで、この伝統が反トランプといっていい受賞結果に象徴されたのであろう。

アメリカ社会における“マイノリティ”がハリウッドの映画社会のマジョリティになりつつあるこの社会的主張が、今後のアメリカ映画そのものの本質的な変貌につながるとは思えないが、今回の受賞結果を見る限り、映画作品そのものの質的評価をいささか歪めることになったのでは危惧しているのは私だけか。「万引き家族」のごとき凡作が高評価を得ている日本の映画社会の能天気振りは論外としても。 

<キネマスキーのプロフィール>

年齢・国籍不詳。「単館荒らしのキネマスキー」を自称し、余り世上に上らぬマイナーでおタクな映画世界の徘徊者。7年ほど前から、NPO法人新現役ネットの映画講座「シネマの迷宮」を主宰。

*新現役ネット映画サロン「シネマの迷宮 この映画知ってる?」

 日時:毎月第一土曜日 13:30~

 場所:NPO法人新現役ネット田町会議室(JR田町駅三田口至近)

    お問い合わせ:03-5730-0161