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キネマスキーの<たかが映画 されど映画>(その9) ― トランボ ハリウッドの自由を守った男 ―

ダルトン・トランボというアメリカの名脚本家をご存知か。

1930年代からハリウッドの中心的な脚本家でありながら、1950年代のマッカーシズムの赤狩りによって、「ハリウッド・テン」(共産主義シンパとして弾劾・追放された10人の映画人)の中核的人物として投獄され、長きにわたってアメリカ映画界から追放された人物。
この不遇時代に、クレディットされることなく仮名で「ローマの休日」などの名脚本を創ったことでも有名。

最近作「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」は、彼の創作者としての苦闘と再生を描いた佳作である。
米国憲法は、その修正第一条で、宗教、信条、表現、報道などの自由を制約することが禁じている。
極端に右傾化した衆愚社会と映画界に抵抗して仲間たちとこの基本的自由を守り抜いたトランボの姿に、アメリカ社会の本質的な健全性を感じる。
現トランプ政権下でこのアメリカン・スピリットが損なわれないことを祈るとともに、衆愚的ポピュリズムがいささか懸念される今の日本にあって、表現者としての自由に体を張れるような人物が果たしているのであろうか、気になるところではある。

 

*キネマスキー 
年齢・国籍不詳。「単館荒らしのキネマスキー」を自称し、余り世上に上らぬ 
マイナーでオタクな映画世界の徘徊者。6年ほど前からNPO法人新現役ネッ 
トの映画講座「シネマの迷宮」を主宰。 
*映画サロン「シネマの迷宮 この映画知ってる?」 
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